企業である以上、売上と利益を上げることが仕事の前提です。商品企画というとデザイナーと思われがちですが、デザイナーはよく「MDが売れる構成をしっかり考えてくれ」と言います。お客様が欲しいと思う時タイムリーに、素材感もぴったりな求める商品を提供しなければ売れません。つまり商品構成が最初で、次にどんなデザインが素敵か、ということになります。MDは最初の仕事なんです。ファッションは周囲の環境に左右され、しかも企画を立ち上げるのは半年前。さらに上司は「気温に左右されにくい企画を立てなさい」と、神様でもできないようなことをいいます。そんな中でどう確信をもって企画を立てるか、というとき、まず手がかりになるのがお客様の行動にモチベーションがあるシーズンです。例えば入卒園式の季節、お客様は礼服を求めます。ではいつ買いたいのか、聞き取りや他ブランドの動向などのリサーチを重ねて、時期を見極め、商品を作っていく、という順番です。こんな商品が気温に左右されにくい構成、売上のベースになる部分ということになるですが、ファッションですから、前年売れたアイテムばかりをパズル方式で組み立てた、がんじがらめの構成では、お客様から離れてしまいます。ですからモチベーション軸で売れると判断できる企画ができるのならば、別の部分では遊び心を発揮して、ちょっと先物の提案をする。そのバランスが大切です。
SPAは「大衆をターゲットに大量生産、大量販売による低価格戦略」を旨としてきた。その意味において、この業態はしばしば「製造小売り」とも言われてきた。とりわけ安さが訴求のポイントとなっていることから、できるだけ耐久性のある高品質な商品を提供するところに、その意義がある。ゆえに、デザイン性よりも品質にウェイトがおかれ、その基本的戦略として垂直的な生産体制の構築や物流機能の充実が求められてきたのだ。プライベートブランドに合う生地を作るため、素材メーカー(テキスタイル)を共同で開発し、製品に仕上げ、それを効率的な物流システムで店頭に早く陳列するというやり方である。他方、販売にあたってはPOSによる情報の収集、それに伴って、ネットワーク化により、QRS対応で必要な時期に必要な量の商品を販売したのだ。そして、シーズンオフに在庫品となるものはアウトレットで処分する。リスクは自社で負うという買取り方式で収益性を高めてきた業態である。このように、自社企画ブランドでは衣料を販売する専門店を「製造小売り」という概念でSPAと称してきた。この新しいタイプの業態がアメリカでは急成長していたので、それをワールドが最初に日本へ導入したことに始まる。
「絶対買うべきよ。こんないい色のコート、もう出ないわね」あろうことか友人にすすめる。あろうことかという文は後に続く。友人は買わなかったが、次に会った時、彼女はそのコートでさっそうと現れた。「やっぱり、よかったわ。みんなにほめられるの」素敵だ。落ち着いているのに華やぐ。我々の年代にはぴったり。ああ、人にすすめないで自分で買えばよかった。あろうことかだ。以前にもそういうことがあった。フランスに連れて行ったような山吹色のコートスーツ。「絶対いい色よ。買わなきゃ後悔するわよ」「そうですか?」と疑問を感じつつ、その人は買った。どうして自分で買わなかったのだろう。あれ以来、あんな素敵な色は見たことがない。