「マンション建替え円滑化法」では、区分所有法の規定にしたがって建替え決議をおこなった後に、建替えに賛成する人たちで「マンション建替組合」を設立できるとしている。その一方で、中古マンションの区分所有者が一人で、または数人が共同して建替え事業を推進することもできるとしており、これを「個人施行方式」による建替えという。大田区の団地型中古マンションの場合には、「マンション建替組合」型の建替えであるが、例に挙げるのはデベロッパー主導型の「個人施行方式」による建替え事業といえる。この中古マンションは東京都世田谷区の地価の高い住宅街にあり、もともとは二棟からなる築三三年の賃貸住宅であった。住戸数はそれぞれ二四戸で、規模は小さい。ある時期に一棟は居住者に分譲されて区分所有建物になり、もう一棟は賃貸のままであったが、のちにデベロッパーが一棟ごと買い取ったことから建替え計画が始まった。デベロッパーは買い取った一棟を建替えるに際して、区分所有になっている隣の棟に一緒に建替える誘いをしたのである。誘いをしてからわずか半年あまりで合意が整い、二棟を一棟にした五七戸の中古マンションに建替わることになった。この場合、もともと四○平方メートルの住戸の持ち主は、同じ広さの住戸を五〇〇万円強で取得できることになっている。四三・九三平方メートルの1LDKが三四九〇万円で売りに出されているから、もとから住んでいた人は、新規分譲価格の二割をはるかに切って新しい住戸を取得できることになる。
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